オールド・アラビア
最近は、オールド・アラビアや北欧の古い木の道具についてのお問い合わせをいただくことが増えました。
少しずつ浸透してきているんだな〜と、とても嬉しく思います。
5年前だったら絶対に考えられないことでしたね。「何それ!?」って感じでした。
当時の世間での北欧ブームは雑誌や有名北欧ショップが牽引する「柄もの」や「デザイナーもの」一色で、1950年代以前の北欧の工芸品や民具をピックアップするメディアどころか北欧買い付けしているバイヤーもほとんど注目していなかったように思います。
いまでは、価値観の近い同業者仲間や作家さんやスタイリストさんを中心に、ゆっくりと北欧の古い器や道具に注目する人が増えてきているように思います。
僕がフィンランド工芸デザインの転換期が1950年代前後だと気付きはじめた頃、1900-40年代のアラビア社製品と、1950年代以降のアラビア製品を区別して呼んだほうがお客さんにもわかりやすくて、区別ができていいのでは考え始めました。
そんな中、勝手にブログで使っていた名称が「オールド・アラビア」でした。いまでは一部には浸透してきたのかなと思います。
とは言っても、僕も1950年代以降の北欧デザインの中にも大好きなものがたくさんあります。アアルトやカイ・フランクやタピオ・ヴィルッカラ、石本藤雄さんなどは素晴らしいものをたくさん残してくれました。逆に、古いものでも良いと思わないものもたくさんあります。
結局は、「見る側・使う側」の意識が問題であって、魅力的なものはどの時代にも転がっています。
そして今は、これまで見てきた様々な国の様々な時代のものを上手く自分なりにミックスさせるセンスが大切だと感じています。
マリメッコだからアラビアだから良いのではなくて、その中に少しの素敵なものと多数のそうでないものがあるので、ブランド名ではなくて、ちゃんと「もの」を見つめなくてはいけない〜と感じます。
さてさて、今日はタイトルどおり、オールドアラビアの白磁ボウルです。
フィンランド、アラビア社
1890-1910年代
深めのボウル。ラーメン鉢くらいのサイズですが、昔のものはサイズに比べて軽いですね。薄めに仕上げらています。
3箇所の目跡が内側にあります。昔の製造方法ですね。
磁肌の色艶や質感が現代のものとは全然違いますね。うっとりします。
高台からゆっくりと染み入って、味わいになってきています。
よく見るとArabiaの刻印が見えますね。
■ 白磁ボウル
D18.4×H10.0 cm
(Sold) ありがとうございました。