透明のタンブラー
帰国後、最初のブログで何を紹介しようかいつも悩むのですが、肩肘張らずにSoilらしいものにしようと思います。
↑ 一見なんてことないタンブラーですね。これを見ても何も感じない人のほうが多いとは思いますが、僕にとってはとても嬉しい出会いでした。どちらも1950年代頃ですが、このあたりの時代からフィンランドのガラス技術はとても進化していって、どんどんガラスがクリアになっていき、カタチも完全に整って、ガラスの味という点では無くなっていったと思っています。
20世紀初期頃までのトロトロな質感のガラスも好きですが、この1930−50年代特有の工業生産らしい質感なんだけど、ガラスの味わいがギリギリ残っていて、なおかつクラシックなフォルムではなくフィンランドらしいデザインになっているというような微妙な時代のガラスウェアも好きなのです。
そしてこの2点は、実はどちらもかなりレアなんです。
「素晴らしき普通」
Kaj Franckデザインの中でも比較的ロングセラーとなった「5023」は、アメリカへの進出も視野に入れていて、当時の新しい技術を駆使して多彩なカラーバリエーションを展開していました。しかしながら、そのせいもあってかカラーばかりが売れてクリアー(透明)は売れなかったのでしょう。今クリアーはほとんど出てこない!
しかも、この「5023」は途中から(おそらく1960年代に入るか入らないかあたり)プレスの型が変って、ガラスの質も向上して味わいが無くなるのですが、こちらは前期の1950年代のものです。かなりマニアックなことなので「5023」の前期と後期を意識している人は、日本でもフィンランドでもほとんどいないと思いますが。
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“5023”Tumbler (clear)
Nuutajarvi
Kaj Franck
1950年代
D7.8×H7.7 cm
(ご売約済み)ありがとうございました。
お次は、こちら ↓
↑ 一見、何の変哲も無いコップ。実は、当時フィンランドで売られていたヨーグルトが入ってた容器なのです。そしてヨーグルトを食べた後に、容器を洗ってコップとして使っていたものが現在残ってるんだよと、以前ディーラーさんから教えていただきました。企業が販売促進のために、ある期間だけガラスの容器にしたのかもしれませんね。
以前は、この容器とカイ・フランクの”2744″を間違える人が多かったのですが、ガラスの質感や底の形状など結構違います。ヌータヤルヴィのガラスなどとは違って、ずっとチープなガラスの質感で少し脆いイメージです。でも、そこがかえって面白くて、一時はちょこちょこ仕入れていたのですが、最近ではめっきり見なくなりました。このヨーグルト容器は、販売当時は多彩なカラーバリエーションがあったのですが、かえって透明はあまり売れなかったのか、いまでは見かけることのほとんどないレアカラーとなっております。
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ヨーグルト容器
1950年代
D8.1×H7.5 cm
(ご売約済み)ありがとうございました。